前回は、そもそもコードとは何なのか、なぜ複数の音を一つのまとまりとして考えるのか、という話をしました。
たとえばCというコードは、ド・ミ・ソの3つの音、音名で書けばC・E・Gの3つの「かたまり」をCと呼ぶ。この塊の作り方をルール化すると、意思疎通がスムーズになる(少ない文字でたくさんの情報を表せる)というのがコード、というものを使うメリットです。
ただ、Cがド・ミ・ソだと分かっても、実際にパッドでどこを押さえればいいのかを理解しないと「Cのコード」を押さえることはできない。
そして、ここからがパッドの面白いことなんですが、パッドは理論上「機能が同じ音はすべて同じ形で理解できる」という特徴があります。
ギターも似たような特徴はあるんですが、ギターは4弦と5弦の間だけ「ズレ」があったり、また弦楽器という特徴によって「1本の弦で1つの音しか出せない」ために、どうしても制約は存在します。(ピアノは、そもそもCとDでは全然形が異なる。Cを押さえるのは簡単だけど、Dになるといきなり黒鍵が混じって難しい)
3和音を2種類覚える
ということで、いろいろな前置きは置いといて、まずパッドで使える「3和音」を「2種類」理屈を含めて覚えてしまいましょう。
覚える3和音は「メジャー」と「マイナー」の2種類です。(正確にはほかの種類もありますが、それは後回しにします)
極論、この2種類を覚えるだけで、けっこうな数の曲を、それっぽく演奏することができるようになります。
メジャーとマイナーの違いは「3度」と呼ばれる下から2個目の音。これが一個ズレてるかどうか。
ただ、ここからはもう小難しいことを考えるよりも、実際の押さえ方を見て「目で把握する」のが一番。
メジャーとマイナーの形の違い


メジャーとマイナーの別の形


メジャーとマイナーの違いはまん中だけ
結局、メジャーコードとマイナーコードというやつは、この「真ん中の音」がどっちによっているか、というだけ。
で、これを64 Pad Exploreeなどを使って実際に音を出していただくとよくわかると思うんですが、このまん中の音が一個違うだけで、音の印象がかなり変わるんですよ。
まずこれが理解できることが、メジャーとマイナーを知る第一歩です。
CコードとDコードの違い
そして次は「Cのコード」と「Dのコード」がどう違うのか。


これは、メジャーとマイナーよりも、もう圧倒的にわかりやすいです。
このCメジャーの形を、三つの指の位置関係を変えずに、全部右へ二つ動かします。するとルートはCからDへ変わり、コードもDメジャーになります。
C用の形とD用の形を、別々に覚える必要はありません。メジャーの形を覚えたら、そのルートをDの場所へ持っていけばいい。マイナーも同じです。
パッドの配列は、場所が変わっても音の間隔が一定です。だから、音名が変わっても同じ形を使えます。
ただし盤面の端では、一つの形をそのまま置けない
どこでも同じ形が使えるなら、メジャーとマイナーを一つずつ覚えれば済みそうです。
ただ、64パッドは横に8個しかありません。さっきのメジャーの形には、ルートの右側に四つ分の場所が必要です。ルートが右端に近づくと、3度を押したいところにパッドがありません。
音の並び方は変わらなくても、楽器には端があります。
同じ音を、別のパッドで押せる
ここで使えるのが、同じ高さの音が複数の場所にある、というパッドの性質です。
Cから右へ四つ進んだEは、Cから左へ一つ、上へ一段の場所にもあります。Cの真上はFで、その左隣がEです。
これは、オクターブ上のEではありません。右へ四つのEと、まったく同じ高さのEです。
Gも、Cから右へ二つ・上へ一段だけでなく、左へ三つ・上へ二段の場所で鳴らせます。
押す場所を変えても、鳴らしている三つの音は同じ
横にはみ出すEを左上のEへ移せば、同じC・E・Gを、別の形で押さえられます。さらにGの場所も変えれば、右側へ広がらない形にもできます。
見た目の形は違っていても、鳴っているのは同じ高さのC・E・G。低い方からC、E、Gという関係も変わりません。
これは「転回形」ではなく、同じ音を別のパッドで出しているだけです。
メジャー3フォームとマイナー3フォームを基礎セットにする
同じ音を押せる場所を組み合わせると、フォームにはいくつも候補ができます。その中から、まず現実的な押さえ方として、メジャーとマイナーをそれぞれ3パターンずつ覚えます。
以下の図では、ルートを「R」、長3度を「3」、短3度を「b3」、完全5度を「5」と書きます。b3のbは、♭の代わりです。それぞれの図は、ルートの周囲を切り出しています。
メジャーの3フォーム
フォーム1は、最初にC・E・Gで見た形です。3度がルートと同じ横一列にあります。
フォーム2は、その3度を左上の同じ音へ移した形。フォーム3は、さらに5度も別の場所へ移し、ルートから二段上に置いた形です。
どれも、同じ高さのCをルートに取れば、鳴らす音は同じC・E・Gです。右側に場所があるかどうかで、使える形が変わります。
マイナーの3フォーム
メジャーと同じ番号のフォームを、ルートの位置をそろえて比べると、3度だけが左へ一つ動いています。ルートと5度の位置関係は変わっていません。
最初に見た「EをE♭にする」が、三つのフォームすべてで同じように使えます。
コードは2種類、押さえ方は合計6フォーム
ここで増えたのは、コードの種類ではありません。メジャーという一つの種類に三つの押さえ方があり、マイナーにも三つある。合わせて六つです。
この6フォームを、まず覚える形にします。すべての押さえ方を網羅するのではなく、メジャーとマイナーをパッドで使うための基礎セットです。
理屈が分かったら、6フォームは丸ごと覚えてしまっていい
ここまで理屈を説明してきましたが、弾くたびに「ルートから右へ四つで長3度、右へ二つ上へ一つで5度……」と考え続ける必要はありません。
なぜその形になるのかが分かったら、あとは形ごと丸覚えでいいと思っています。
前回、ただ丸暗記するだけでは応用ができない、という話をしました。でも、それは暗記をしない方がいい、という意味ではありません。
メジャーの3度を半音下げればマイナーになる。ルートを動かしても形は同じ。同じ音を別のパッドで鳴らせば、形を変えても同じコードになる。
この関係が分かったうえで覚えた形は、意味の分からない記号の丸暗記とは違います。必要なときには理屈に戻れるし、弾くときには覚えた形をそのまま使えます。
理解することと、覚えること。両方あった方がいい。
次は曲の中で3和音を覚える
ただ、フォームの図だけを眺めて、ひたすら暗記するのはつまらないです。
同じ形を繰り返すにしても、それが知っている曲の伴奏になっていれば、ただの暗記とは違います。曲を弾くために同じコードを何度も押しているうちに、その形を覚えていく。
次は「チェリー」のコードを使って、曲の中で3和音の形を覚えていきます。